まあ、実用性のない4面割(ないこともないけど、4面割を作るためだけにコンポジットソフトを使う人ってほとんどいないでしょう)ばかり見せていても興味を持てないと思いますので、ちょっと実用編ということで。

合成01L
グリーンバックの猫を背景静止画に合成してみる

 

Fusion7は、キーイングソフトにPrimatte5を搭載しています。これは、After Effects用のプラグインとしても販売されていますが、6万円以上しますよ。それが無償のFusion7についてくるんですから、Fusionを合成ソフトとして使わない手はありません。

とりあえずふたつ素材を用意します。ひとつはグリーンバックで撮影された猫の動画ファイル。(某毎月ひとつ無料素材をダウンロードできるサイトより)もうひとつは背景となる静止画(写真)素材です。

これを合成してみましょう。フォルダからFusionのフローウィンドウに素材をひとつひとつ投げ込みます。(ふたつまとめて投げ込むと余分なMergeがついちゃうので)

最初は細長いツールで表示されますので、フローウィンドウを右クリックして出たメニューからから「Show→Show Tile Picture」を選んで大きくしておきます。

とりあえず、「Add Tool→Primatte→Primatte V5」と選んで、Primatteツールをフローウィンドウに追加します。

複雑な合成系のツールなので入力端子がやたらありますが、今回使うのはBackground(薄いグリーン)とForeground(オレンジ)だけです。もしわからなければマウスカーソルを三角形に合わせれば役割が表示されますから。

当然猫がForegroundで、部屋がBackgroundです。Loaderの赤い四角(出力端子)からPrimatteのそれぞれの入力端子に線を引っ張ってください。なお端子の位置は固定ではなく、その時々の状況によってこんがらないように自動で修正されます。

とりあえず線でつなぐ
とりあえず線でつなぐ

Primatteの絵をプレビュー画面に出すには、前に説明したドットをクリックする方法でもいいですが、素材(のLoader)をどちらかのプレビュー画面にドラッグするのでもいいです。ただし最初はピクセル等倍で表示されちゃうので、プレビュー画面の下にある「Fit」というボタンを押して全画面で表示させましょう。

Primatteツールを選択した状態でコントロールパネルを見ると「Auto Compute」というボタンがあったりするので、これをクリックしてみます。

Auto Computeしてみた
Auto Computeしてみた

とりあえずヌケていますが、色が変ですし目玉の中が透けていたりします。そんなに甘くはないってことでしょうか。

とりあえず、「Select Background Color」というボタンをクリックし、もうひとつのプレビュー画面に出した猫映像の背景にマウスカーソルを持っていって、背景のグリーンをクリックします。色がすこしまともになりました。まだ目玉は透けています。

ただ、この状態でも猫の輪郭は毛先までしっかりとヌケており、Primatteの性能の高さが伺えます。ではまず目玉をなんとかしましょう。

「Clean Foreground Noise」というボタンをクリックし、合成結果のプレビュー画面にマウスカーソルを持って行って、猫の目玉をクリックします。ヌケたでしょう?
まだ透けてるところがあったら、カーソルでこするようにします。

合成04

けっこうそれらしくなってきました。

このままだと細かいヌケ具合がわかりにくいので、いったん部屋の写真からPrimatteのBackgroundに行ってる線を切断し(線の上でクリック)、合成結果のプレビュー画面をアルファチャンネルに切り替えます。画面の下にあるRGB三色旗みたいなアイコンをαに切り替えてください。

アルファチャンネルに切り替えたところ
アルファチャンネルに切り替えたところ

ここで徹底的にヌケを調整します。まず「Clean Foreground Noise」の状態で、猫の内側の黒い部分をこすって消します。次に「Clean Background Noise」をクリックして、猫の外側の完全に黒になりきっていない部分をこすって黒にしてください。

あと、猫の縁に背景の緑が回り込んでいる「スピル」という部分を「Spil Sponge」という機能を使って同様に消していくのですが、これは場合によっては色が補色系に変わってしまうこともありますので加減しながら使ってください。

とりあえずここまでの操作でこれだけヌケました。(Backgroundの接続はもう一度つなぎ直しました)

合成06

猫と背景のサイズを合わせたり、背景を少しだけボカしたりしたのが、下記のフロー図です。

TransformとBlurを入れて出力できるように。
TransformとBlurを入れて出力できるように。

中間にTransformを入れてサイズと位置を修正し、背景写真のほうにはBlurというツールをかませてボカしています。出力用にSaverはもちろん。
とりあえず動く絵はこちら。
(まだまだ追い込めばいい合成もできると思うんですけど)

ちなみに、Primatteの使い方はこちらの動画を参考にしました。さらに高度な使い方もご覧いただけます。PrimatteやFusionのバージョンは違いますが、そんなに差はないと思います。