給与23万円でも選ばれた!中小企業2社の採用成功ストーリー

八百屋と縫製業

初任給30万円の大手企業に対抗できず、採用に苦しむ中小企業。
しかし「職人技術が学べる環境」「裁量の大きさ」など、給与以外の魅力で全国から応募を集める企業が存在します。

縫製業と八百屋、2つの「不人気業界」が若手を惹きつけた戦略を紹介します。

目次

第1章 給料では勝てない。それでも採用に成功した企業がある

2026年、大手企業では初任給30万円超えが続出しています。

大和ハウス工業は35万円、SBIホールディングスは34万円です。
一方で中小企業の初任給は約22万円です。 月額8万円以上の格差があります

「給料で負けたら採用できない」と考える経営者は多いでしょう。
しかし本当にそうでしょうか。 実際には、給与以外の魅力で採用成功している企業が存在します

本記事では2つの実例を紹介します。
縫製業と八百屋という「不人気業界」の企業です。
この2社の事例から、給与以外で勝負できる道筋が見えてきます。

第2章 株式会社イワサキ「1人の募集に5人が応募」縫製業の奇跡

どんな会社か

株式会社イワサキは大阪府東大阪市にある企業です。
高級婦人服の縫製を手がけています。

創業は1947年、従業員数は約80〜100名です。
中途採用はゼロで、新卒のみ毎年10〜15名を採用しています。

直面していた課題

縫製業界は厳しい状況にあります。
全盛期の1952年には800社以上ありました。
しかし2017年には37社まで激減しました。
国内生産の繊維業界シェアは約2.7%まで縮小しています。

熟練職人の高齢化も深刻です。
若手不足が慢性化しています。
技術習得に時間がかかる業界特性もあります。
「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージも払拭できません。

訴求した「給与以外の魅力」

イワサキのコンセプトは「服を作る前に人を作る」です。
このコンセプトを実現する3つの魅力があります。

1. 大阪府知事認定の職業訓練校を社内に併設

1970年に「岩崎洋裁高等職業訓練校」を開設しました。
働きながら国家資格(洋裁技能士補)を取得できます。
入社後1〜2年間、週3回の学科研修があります。
年間400時間の訓練を受けられます。

国家資格の合格率はほぼ100%です。
これまで約1,000名の修了生を輩出しました。
特級洋裁技能士や職業訓練指導員免許取得者が直接指導します。
現場社員全員が国家資格保持者という環境です。

2. 全寮制の充実した生活環境

女子寮2棟と男子寮があります。
マンション風個室が約100室完備されています。
バス・トイレ・冷暖房付です。
3食付で、工場より大きな社員寮を整備しています。

3. 手に職をつけて自立できる

「縫製や加工は手間賃とみなされ、キャッシュフローが成り立ちにくい。
だからどの社でもやっていける資格を持つ、高い技能を持った人材を育成したかった
これは岩﨑靖璋会長の言葉です。

退職後も全国の縫製工場で活躍できる実力が身につきます
訓練校の卒業生は日本の縫製を陰で支えています。

採用成果

1人の募集に対して5人が応募します。
「この春も13人を採用しましたが、7割はお断りしています」と安達正敏社長は語ります。
北海道から沖縄まで全国から求職者が殺到しています。

採用者は全員、大卒か服飾専門学校の卒業生です。
正社員比率は95人中87人です。
今の時代に超人気企業となっています。

経営者の言葉

「ミシンは機械ではなく道具。使う人によってできるものは変わる。
だから、イワサキはいい商品を作ることができる人を育てることに力を入れています
岩﨑靖璋会長のこの言葉が、同社の採用成功の本質を表しています。

【引用元】

第3章 株式会社八百鮮「不人気業界で年商80億円」八百屋の逆襲

どんな会社か

株式会社八百鮮は大阪と愛知で八百屋を展開しています。
野菜・肉・魚の生鮮食品専門店です。
創業は2010年12月、創業者の市原敬久氏が28歳で起業しました。

現在は大阪・愛知で5店舗を運営しています。
年商は80億円、従業員は約150名です。

直面していた課題

「八百屋」は不人気業界です。
年間1,000万円の採用費用をかけていました

しかし第2志望群しか集められませんでした。
知名度はゼロからのスタートでした。

デジタル化時代に「アナログ」の八百屋は逆風でした。
若者から選ばれない業種イメージがありました。

訴求した「給与以外の魅力」

八百鮮のビジョンは「八百屋を、日本一かっこよく」です。
このビジョンを実現する3つの魅力があります。

1. 「型破り」な仕事ができる裁量の大きさ

何を仕入れるか、自分で決められます。
いくらで売るか、自分で決められます

億の予算を利益に変えていく「商売の原型」を体験できます。

「決められたことだけをやる毎日は送りたくない」
そんな若者に響くメッセージを発信しました。
若手から責任ある仕事を任されます。

2. 実力に応じた高収入

店長の平均年収は910万円です。
売上56億円を実現する実績があります。
実力主義の評価制度です。

3. 成長できる環境

社長が直接、採用・育成に関わります
SNS(Twitter)で積極的に情報発信しています。
社員インタビューを公開し、リアルな働き方を伝えています。

採用戦略の転換

Wantedlyを活用した「共感採用」に切り替え、 採用コンサルティングを受けました。
6ヶ月で7名を採用しました(中途4名、新卒2名、人事1名)。

年間1,000万円の採用費用を3分の1に削減しました。
採用単価を抑えつつ、欲しい人材を獲得できました。

経営者の言葉

「私は、どのような企業様も魅力を持っているはずで、それをどのようにして外部へ上手くアピールできるか、ということが非常に大切だと感じています」
市原敬久社長のこの言葉が、採用成功の本質を表しています。

八百屋にもこんな素敵な会社があるんだ」という新たな刺激を与えました。
それが採用成功の要因でした。

【引用元】

第4章 2社に共通する「給与以外で勝つ」5つの法則

イワサキと八百鮮の成功から、5つの共通法則が見えてきます。

法則1 「成長できる」を具体的に証明する

イワサキは国家資格取得率ほぼ100%という数字を示しました。
八百鮮は店長平均年収910万円という実績を示しました。

「成長できます」という曖昧な表現では響きません
「この資格が取れます」「この年収が実現できます」と具体的に示すことが重要です。
数字で証明することが信頼につながります。

法則2 業界の「弱み」を自社の「強み」に変える

イワサキは縫製業界の人材不足を逆手に取りました
「だからこそ手に職がつく」とアピールしました。
八百鮮は不人気業界を「だからこそチャンスがある」と再定義しました。

業界の弱みは見方を変えれば「未開拓のブルーオーシャン」です。
競合が少ないからこそ、若手が活躍できる余地があります。

法則3 経営者が採用の「顔」になる

イワサキの会長・社長は直接、訓練校で指導しています。
八百鮮の社長はTwitterで積極的に発信しています。

中小企業の強みは「経営者との距離の近さ」です。
大手企業では経営者と直接話す機会はほとんどありません。
この強みを最大限に活かすべきです。

法則4 「リアル」を徹底的に見せる

イワサキは全寮制の生活環境を公開しています。
訓練校の様子を見学できるようにしています。

八百鮮は社員インタビューを公開しています。
日々の仕事をSNSで発信しています。

良い面だけでなく、大変な面も隠さない
これがRJP(Realistic Job Preview:現実的な仕事情報の事前開示)です。
入社後のミスマッチを防ぐ効果もあります。

法則5 「何のために働くか」を言語化する

イワサキは「服を作る前に人を作る」というコンセプトを掲げています。
八百鮮は「八百屋を、日本一かっこよく」というビジョンを掲げています。

給料以上に「やりがい」「社会的意義」を求める若手が増えています
明確なビジョンやコンセプトが共感を生みます

この5つの法則は、どんな業種の中小企業でも応用できます。

最後のメッセージ

給与で勝てなくても、「ここで働く意味」を明確に伝えられれば、人は集まります
イワサキも八百鮮も、最初から有名企業だったわけではありません。

「自社の魅力」を徹底的に言語化しました。
発信し続けました。
その結果、今の採用力があるのです。

あなたの会社にも、必ず魅力があります。
それを見つけ、言語化し、伝え続けることが成功への道
です。


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