若手社員が退職を決めても、本当の理由を上司に話すことはほぼありません。
この記事では、若手が心の中でつぶやいている11の本音を解説します。
中小企業の早期離職対策のヒントとして、ぜひ最後まで読んでください。
第1章 辞める人は本音を言わない
ある夕方のことです。
社長のもとに、入社3年目の若手社員・山田くんが訪ねてきました。
「少しよろしいでしょうか」
退職の申し出でした。
社長は驚きました。
期待していた社員でした。
給料だって、同業他社に劣らないつもりでした。
「何か不満があったの?」
山田くんは少し間を置いてから、こう答えました。
「いえ、そういうわけでは……」
面談を終えた社長の胸に、一つの疑問が残りました。
「本当の理由は、何だったんだろう」
この疑問の答えはシンプルです。
辞める人は、本音を言わないのです。
転職がしやすい時代になりました。
辞める側にとって、わざわざ本当の理由を伝えるメリットはありません。
傷つけたくない、もめたくない、という気持ちもあります。
だから「一身上の都合」という言葉が、本音の代わりに使われます。
では、若手が心の中でつぶやいている言葉とは、いったい何でしょうか。

第2章 若手が心の中でつぶやいている11の言葉
辞めていく若手社員は、退職を決意するまでにさまざまな思いを抱えています。 口には出さないけれど、こんな言葉が心の中に浮かんでいたかもしれません。
職場の環境について
「毎朝、会社に来るたびに気が滅入っていました」
「正直、あの空気の中にいるのが限界でした」
「あの人の下では、もう働けないと思いました」
「自分の時間が、完全に消えていました」
待遇や評価について
「この会社、5年後も存在しているか不安でした」
「頑張っても、給料が上がる未来が見えませんでした」
「他社と比べると、待遇の差が気になり始めました」
「誰が評価されるか、実力と関係ない気がしていました」
「この会社のこと、人に話すのが恥ずかしくなってきました」
やりがいや成長について
「自分がここにいる意味が、わからなくなりました」
「3年いたのに、何も身についていない気がしました」
これらの言葉は、実際には口にされません。
だから経営者は、気づけないのです。
第3章 知っておきたい「仕事への価値観」11の要素
11の言葉には、それぞれ背景があります。
心理学の世界では、仕事や職場に何を求めるかという価値観を「ワーク・バリュー」と呼びます。
ワーク・バリューは、大きく3つのグループに分けられます。
職場環境グループ
職場の物理的環境
オフィスの清潔さやデザインなど、働く場所そのものへの感覚です。
「この場所で働くのが誇らしい」と思えるかどうかが、モチベーションに直結します。
職場の雰囲気
人間関係のあたたかさや、チームの一体感への欲求です。
職場の空気が重苦しいと、それだけで心が消耗します。
上司との関係
上司との相性や、正当に評価してもらえるかどうかへの関心です。
中小企業では、上司との距離が近い分、その影響も大きくなります。
プライベートとの両立
仕事以外の時間を大切にしたいという価値観です。
「仕事だけの人生はつまらない」と感じる若手は、年々増えています。
待遇・評価グループ
安定性
雇用の安心感や、会社の将来性への関心です。
AIの進化により、先が読めない時代になっていることも、不安を強めています。
高収入
努力が報酬に反映されることへの期待です。
頑張っても給料が変わらない環境では、やる気は続きません。
福利厚生
住宅手当や有給など、生活を支える制度への関心です。
大企業との差が見えやすい部分でもあります。
人事評価
昇進や給与が公平な基準で決まっているかどうかへの関心です。
評価基準が不透明だと、若手の不信感は静かに積み重なります。
仕事や職場の社会的評価
会社や仕事内容を、人に誇れるかどうかへの感覚です。
「どこで働いているの?」と聞かれた時の気持ちが、じわじわと影響します。
やりがいグループ
仕事のやりがい
誰かの役に立てている、成果が出ているという実感です。
これが感じられない環境では、優秀な若手ほど早く動き出します。
成長の実感
仕事を通じて、自分が変化・成長していると感じられることへの欲求です。
「ここにいても成長できない」と感じた瞬間が、退職の引き金になることがあります。
重要なのは、何を重視するかは人によって違うということです。
給料より成長を求める人もいれば、安定と福利厚生を最優先にする人もいます。
「うちの若手がなぜ辞めたか」は、この11の要素のどこかに答えがあるはずです。
第4章 中小企業経営者が今日からできること
中小企業が特に見落としやすい3つの要素
大企業と違い、中小企業では特に次の3つが見落とされやすい傾向があります。
上司との関係
組織が小さい分、上司との距離が近くなります。
相性の合わない上司の影響を、逃れる場所がないのです。
人事評価の透明性
評価基準が曖昧なまま、経営者の判断で処遇が決まることが少なくありません。
若手には「実力と関係なく評価されている」と映ることがあります。
成長の実感
ルーティンワークが多く、自分の成長を感じにくい環境になっていませんか。
若手は「ここにいても成長できない」と感じると、静かに出口を探し始めます。
まず「知ること」から始める
大きな改革は、必要ありません。
まず「うちの若手は何を求めているか」を知ることから始めてください。
採用の際に価値観を確認する。
定期的に面談の場を設ける。
それだけで、見えてくるものが変わります。
辞めた後に「なぜだろう」と悩む前に、一歩踏み出してみてください。
参考記事
この記事は、ダイヤモンド・オンラインに掲載された心理学博士・榎本博明さんの記事にインスパイアされて書きました。 「ワーク・バリュー」という考え方の詳細は、ぜひ元記事もあわせてご覧ください。
記事名:「残念ですが、本当の転職理由は話しません」退職する若手が上司に決して口にしない”生々しすぎるホンネ”を探る方法 筆者:榎本博明(心理学博士・MP人間科学研究所代表) 掲載媒体:ダイヤモンド・オンライン URL:https://diamond.jp/articles/-/385520





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