企業理念は、ただ立派な言葉を並べるだけでは意味がありません。
心に届く理念には、その会社らしい個性や想いが込められています。
この記事では、よくある残念な理念の例から学び、世界の名企業の理念にふれながら、 自社の価値を高める理念のつくり方をやさしく解説します。
第1章:無個性で心に響かない企業理念が多すぎる

まず、以下の企業理念をご覧ください。
企業理念:人と社会に寄り添い、未来を創造する。
私たちは、豊かな人間性と調和のとれた社会の実現を目指し、 常に変化を受け入れ、挑戦する心を忘れずに前進し続けます。
お客様との信頼を礎とし、すべてのステークホルダーに感謝を忘れず、 より良い価値の創出を通して、社会全体に貢献してまいります。
私たちの歩みは、明るい未来への第一歩です。
一人ひとりが誇りを持ち、笑顔あふれる社会づくりに寄与します。
とても丁寧で、否定するところがない文章ですね。
でも、これを読んで「この会社、どんな会社だろう」とイメージが湧きますか?
おそらく、多くの人が「どこにでもある会社」と思うでしょう。 なぜなら、この理念はどの会社にも当てはまりそうな言葉で書かれているからです。
「人」「社会」「信頼」「感謝」「未来」などの言葉はよく見かけます。
しかし、それが具体的にどういう意味か、どこにその会社らしさがあるかが見えません。
どれだけきれいな言葉でも、個性がなければ心には響きません。
それでは、理念としての役割を果たせないのです。
第2章:世界の有名企業がかかげている企業理念やスローガン
それでは、世界で活躍する企業のスローガンを見てみましょう。
Apple:Think Different
「違う考え方をしよう」
たった2語ですが、Appleの哲学が詰まっています。
「他と違う発想をする」「常識を疑う」そんな挑戦的な姿勢が表れています。
Apple製品を手にすると、この精神が感じられますね。
Nike:Just Do It
「とにかくやってみよう」
シンプルで力強い言葉です。
やる前に迷うな、と背中を押してくれます。
この言葉はアスリートだけでなく、すべての挑戦者に響きます。
Disney:To entertain, inform and inspire people around the globe through the power of unparalleled storytelling
「比類なきストーリーテリングの力で、世界中の人々を楽しませ、学ばせ、感動させる」
エンタメ企業としての本質が表れています。
ただ楽しませるだけでなく、情報を届け、感動を与える。
それを「ストーリーテリングの力」で実現するという独自性も光ります。
Patagonia:We’re in business to save our home planet
「私たちは、地球という故郷を守るためにビジネスをしている」
ビジネスの目的が「地球を守る」だなんて、強烈ですよね。
企業としての覚悟と行動が、この一文に込められています。
どの企業も、理念やスローガンが短くても強い印象を残します。
そして、明確に「らしさ」が伝わってきます。
第3章:カンパニー・スピリットを言語化しよう
企業理念は、ただの理想やお題目で終わってはいけません。
それは、社員が行動の指針とし、お客様が共感する「旗印」であるべきです。
そのためには、理念を「心に届く言葉」にする必要があります。
スローガンのように、わかりやすく、印象に残る形で伝えるのです。
また、経営者の想いだけでなく、現場の声やお客様の視点も大切です。
共感を得られる言葉は、一方通行では生まれません。
理念とは、会社の魂を表すメッセージです。
それが伝われば、社員のモチベーションも上がり、企業の信頼も深まります。
第4章:カンパニー・スピリットの作り方
まず、自社の強みや大切にしている価値観を整理しましょう。
たとえば、
「スピード感」
「おせっかいなほど親切」
「他にないアイデア力」など。
次に、その価値観を表すキーワードを集めます。
そこから、自分たちらしい表現に言い換えていきます。
たとえば「スピード感」を「一歩先を走る」と言い換えると、ぐっと生きた言葉になります。
さらに、理念は経営者一人で作るものではありません。
社員と一緒に考え、共有することで、理念が現場に根づきます。
お客様や取引先など、ステークホルダーからのフィードバックも活かしましょう。
そうすることで、「みんなでつくった想い」として、理念に命が宿ります。
理念は飾りではありません。 行動に落とし込まれてこそ、意味があります。
日々の業務で意識できるよう、短く、覚えやすくすることも大切です。
理念をつくることは、会社の未来をつくることです。
だからこそ、時間をかけて丁寧に言葉を選びましょう。
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