正直に申し上げると、ダイレクトリクルーティングは私がおすすめする採用方法ではありません。
しかし、巷で話題になっており多くの企業が導入を検討しています。
正しい情報をお伝えしておく必要があると考えました。
メリットだけでなく課題もしっかりとお話しいたします。
第1章 ダイレクトリクルーティングとは何か?今までの採用手法とはどう違うのか?
ダイレクトリクルーティングは「攻めの採用」と呼ばれる新しい手法です。
代表的なプラットフォームはTV-CMでも有名なビズリーチです。
想像してください。
ビズリーチなどのプラットフォームに登録している人の中に、あなたの会社に必要なスキルを持った人材がいるとします。
その人に「ぜひ一度お話しませんか」とスカウトメッセージを送るのです。
従来の求人広告のように応募を待つのではない。
企業側から積極的にアプローチする点が最大の特徴です。
この手法の市場規模は急速に拡大しています。
2023年度は1,074億円、2024年度は1,275億円と予測されています。
注目の採用手法なのです。
従来の採用手法との違いを整理してみましょう。
求人媒体は求職者からの応募を待つ「待ちの採用」です。
人材紹介は紹介会社からの推薦を受ける「仲介型採用」です。
私がおすすめしている採用マーケティングは「攻めの採用」のひとつです。
一方、ダイレクトリクルーティングも企業が直接候補者にアプローチする「攻めの採用」なのです。
アプローチできる人材の範囲も大きく異なります。
求人媒体では積極的に転職活動をしている人しかアプローチできません。
しかしダイレクトリクルーティングなら転職を考えていない潜在的な候補者にもアプローチ可能です。
第2章 ダイレクトリクルーティングの良い点
最大のメリットは人材紹介などに対するコスト削減効果です。
人材紹介に頼むと、年収の35-40%の成功報酬が必要でした。
年収500万円の人材なら175万円かかる計算です。
しかしダイレクトリクルーティングなら75万円程度で済みます。
約100万円も削減できるわけです。
マッチング精度の向上も大きなメリットです。
転職潜在層は競争率が低く、じっくりと検討してもらえます。
企業の魅力を直接伝えられるため、ミスマッチによる早期離職も減少します。
企業規模や知名度の影響を受けにくい点も重要です。
大手企業でも中小企業でも同じ土俵で候補者にアプローチできます。
個別メッセージで企業の魅力を直接伝えられるのです。
採用スピードの向上も見逃せません。
求人媒体では応募を待つ時間が必要です。
ダイレクトリクルーティングなら必要な人材に即座にアプローチできます。
第3章 ダイレクトリクルーティングの問題点
業務負荷の大幅増加が最大の課題です。
人事担当者の業務負荷は従来比で80%も増加します。
候補者検索、スカウト文作成、返信対応など新たな業務が発生するためです。
時間対効果の悪さも深刻な問題です。
61.7%の企業が「候補者を探すのに時間がかかる」と回答しています。
55.0%が「スカウトの返信率が悪い」と感じているのです。
効果が出るまでに平均3ヶ月かかることも負担となっています。
専門スキルの習得が必要な点も障壁となります。
ターゲット選定スキル、魅力的なスカウト文作成能力が求められます。
これらは習得に時間がかかるのです。
返信率の低さも大きな課題です。
一般的なスカウトメールの返信率は3-8%程度です。
100通送っても数人しか返信してもらえない計算になります。
初期投資と学習コストの発生も無視できません。
ツール利用料に加えて運用担当者の教育費用がかかります。
短期的には従来手法よりもコストが高くなる可能性があるのです。
第4章 中小企業でもダイレクトリクルーティングは利用可能か?中小企業におすすめのダイレクトリクルーティングの手法とは
中小企業でも十分に活用可能です。
実際に従業員120名の地方製造業では3ヶ月で2名の採用に成功しています。
予算に応じたツール選択が成功のカギです。
月額1万円から始められる「ヤギオファー」や「キャリオク」があります。
月額10-50万円なら「doda ダイレクト」や「ミイダス」が選択肢になります。
予算50万円以上なら「BIZREACH」や専門特化ツールも検討できるのです。
段階的導入アプローチをおすすめします。
まずは低コストツールで試験運用し、効果を確認してから本格導入に進むのです。
中小企業ならではの強みを活かしましょう。
大手企業との直接競争を避けて転職潜在層にアプローチします。
個別メッセージで特別感を演出し、企業の魅力を直接訴求するのです。
経営者自らがメッセージを送ることで差別化を図れます。
最新トレンドとして、AI機能を活用したスカウト文生成ツールやSNSと連携したソーシャルリクルーティングも注目されています。
第5章 ダイレクトリクルーティングに適した採用・適さない採用
こんな採用にはダイレクトリクルーティングが最適です
専門スキルが必要なエンジニア、デザイナー、マーケティング専門職などの採用で威力を発揮します。
転職潜在層の獲得や企業文化との適合性を重視する採用にも向いています。
こんな採用にはダイレクトリクルーティングは向きません
大量採用や緊急性の高い即戦力採用には不向きです。
事務職、販売職、軽作業スタッフなど汎用的なスキルの人材採用には過剰投資になります。
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