DVといっても、ドメスティック・バイオレンスではありませぬ。
ここでいうDVというのは、デジタルビデオの規格のひとつです。
1995年に発売されたソニーのDCR-VX1000にはじまる、家庭用としてははじめてのデジタルビデオです。
このVX1000というビデオカメラ、私も所有していたことがありますが、それまでの家庭用カメラと違うのは、画期的に画質がよかったということです。
もちろん、映像制作会社などでも購入しました。最初はロケハンやオーディションなどの記録用として。たいして期待もせずに使ってみたら、これが意外と使える画質でした。
そこで、どんどんと現場で、サブカメラ、そしてついにはメインのカメラとして使われるようになっていきました。
何しろ、プロが使えるカメラとしてはコストが安かった。家庭用ジャンルの製品ですから当然です。
折しも、景気がどんどん急降下していた時代ですから、制作費を下げる要因になったわけです。
もうひとつ、DVカメラの画期的な点、それはパソコンにつながるインターフェイスを備えていた、ということです。これによってパソコンでの動画編集が簡単にできるようになりました。
その結果、どういうことになったかというと、映像制作業界で働いた経験を持たない人が映像制作会社を起業する、あるいは異業種参入する会社が雨後の筍のごとく増えました。
カメラも編集機も安い物ですし、それまでの業務用機器にくらべて使い方もやさしかったため、基本を学ばないでプロになってしまう人がたくさん出てきたわけですね。
結果的に、それが現在に至る映像制作業界の価格崩壊に結びついているような気がします。