大学生の63%がエントリーシート作成にAIを活用する時代。
書類選考は形骸化し、企業も「どうせ面接で見極めるから」と割り切っています。
そこで提案したいのが、LINE公式アカウントとAIチャットボットを使った対話型採用です。
形式ではなく、人と人との対話を重視する新しい採用のカタチを解説します。
第一章 生成AIの普及でエントリーシートが機能不全に
採用活動の第一歩として長年活用されてきたエントリーシート。
しかし、生成AIの登場によって、その信頼性が大きく揺らいでいます。
2025年7月に公表された調査によれば、大学生就活生の63%がエントリーシート作成にAIを活用していることが明らかになりました。
わずか2年前の2023年には35%程度だった利用率が、2倍近くに急増しているのです。
学生たちは生成AIを様々な場面で活用しています。
志望動機や自己PRの下書き作成、誤字脱字のチェック、文章構成の整理、さらには自己分析や模擬面接の練習まで。
特に多いのは「志望動機の作成」で63.6%、「自己PR作成」で62.8%という数字が報告されています。
企業側はどう感じているのでしょうか。
実は、多くの企業は学生のAI活用に寛容です。
マイナビの調査では、企業の57.7%が「生成系AIを活用してほしい」と回答しています。
人事担当者の75.5%は「ChatGPTを使った応募書類でも採用意欲は変わらない」と答えているのです。
しかし問題はここからです。
企業側が寛容な理由は「最終判断は面接なので書類でAIを使っていても問題ない」というもの。
つまり、エントリーシートはもはや選考の決め手にならないと企業自身が認めているのです。
一部の企業からは
「本人の考えではなく画一的な模範意見に感じられる」
「自分の言葉ではないため志望意欲を疑う」
という懸念の声も上がっています。
人事担当者の36.7%はAI生成文を見分けられないと回答しています。
書類選考の精度が下がっている実態が浮き彫りになっています。
つまり現状は、学生側は効率化のためにAIを使い、企業側は「どうせ面接で見極めるから」と割り切っている状態。
エントリーシートという選考ステップが、形骸化しているのです。
第二章 LINE公式アカウントで始める対話型採用
そこで提案したいのが、LINE公式アカウントを活用した新しい採用手法です。
従来の「応募書類を提出→選考」という一方通行のプロセスを、双方向の対話に変えるアプローチです。
具体的にはこうです。
会社に興味を持った求職者には、まずLINE公式アカウントに友だち登録してもらいます。
これは正式な「求人への応募」ではありません。
会社との対話チャンネルを開く、というイメージです。
登録後は、チャットを通じて双方から質問をし合います。
求職者からは「具体的な業務内容は?」「社風はどんな感じですか?」といった質問が来るでしょう。
企業側からは「なぜこの業界に興味を?」「前職ではどんな経験をされましたか?」と尋ねることができます。
こうした対話を重ねながら、お互いをよく知り合っていくのです。
距離が縮まり、これはと思ったら、次はオンライン面談へ。
さらに実際の会社訪問へと進んでもらいます。
自然な形で入社に至る、そんな採用プロセスを目指します。
このアプローチの最大の利点は、形式的な書類選考を飛ばして、いきなり「人となり」を知る段階に入れることです。
第三章 AIチャットボットが一次対応と熱意判定を担う
ただし、LINE公式アカウントでの対話をすべて人間が担当するのは現実的ではありません。
そこで、一次的な対話を担うAIチャットボットを設置することを提案します。
このAIチャットボットには、会社についての情報を蓄えておきます。
事業内容、企業理念、働く環境、福利厚生、求める人物像など。
求職者から
「会社の強みは何ですか?」
「どんな仕事内容ですか?」
といった質問が来たら、AIが即座に回答します。
データにない質問や複雑な内容については、採用担当者につないで回答を促します。
さらに重要なのが、AIから質問をする機能です。
ある程度積極性が見られる求職者には、AIの側からプロフィールを明らかにするような質問をします。
「これまでどんな仕事をされてきましたか?」
「当社に興味を持ったきっかけは?」
「仕事で大切にしていることは何ですか?」
こうした質問への回答が、実質的にエントリーシートの代わりになるのです。
もう一つのAIの重要な役割が、求職者の熱意判定です。
会話の内容から、冷やかしや勘違いではなく、本当に入社への意欲を持っているかを判断します。
質問の具体性、返答のスピード、会話の継続性などから総合的に評価し、採用担当者に報告します。
これにより、採用担当者は最初から全員に対応する必要がなくなります。
AIが「見込みあり」と判断した求職者に絞って、人間が丁寧にアプローチできるのです。
第四章 採用担当者の負担を減らし、質の高い採用を実現
このAI化されたLINE公式アカウントを持つことで、採用活動は大きく変わります。
まず、採用担当者は定型的な問い合わせから解放されます。
「勤務時間は?」
「給与は?」
といった基本的な質問はAIが24時間対応。
担当者は、より本質的なコミュニケーションに時間を使えるようになります。
もちろん、すべての会話内容はログとして記録されます。
担当者はいつでもそれを読み返し、求職者の人となりや関心事を把握できます。
従来のエントリーシートよりも、はるかに立体的な情報が得られるでしょう。
AIが一次フィルターとして機能するのも大きなメリットです。
熱意と適性が感じられる人材には、あらためて人間側がアプローチします。
限られたリソースを、本当に可能性のある候補者に集中投下できるのです。
さらに、求職者側にとっても利点があります。
堅苦しい応募書類を作る必要がなく、気軽に会社とつながれます。
応募へのハードルを下げる効果があります。
疑問点をすぐに解消でき、企業理解が深まります。
ミスマッチを事前に防げる効果も期待できるでしょう。
生成AIによってエントリーシートの意味が薄れた今、採用活動の在り方そのものを見直す時期に来ています。
LINE公式アカウントとAIチャットボットを組み合わせた対話型採用は、形式を重視するのではなく、人と人との対話を重視する、本来あるべき採用の姿を取り戻す一つの答えになるかもしれません。
中小企業にこそ、こうした柔軟で人間味のあるアプローチが向いています。
大量採用ではなく、一人ひとりとじっくり向き合う採用。
それを効率的に実現するツールとして、LINE×AIの活用を検討してみてはいかがでしょうか。




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