撮影が映像制作でいちばんのイベントであることは間違いないのですが、撮影しただけでは映像作品は完成しません。編集し、音を入れ、何らかのメディアに仕上げる必要があります。
これをポスト・プロダクションと言います。ポスプロと略しますが、この言葉は同時に、仕上げ段階を担当する技術会社全般を指し示すこともあります。
そうした仕上げの段階でも、数多くの専門スタッフが携わっています。
まず、エディター。これは、編集をする人です。多くはポスプロ会社に所属している人ですが、フリーで活動している人もいます。
最近は、私自身もそうですが、自分で編集を行うディレクターが増えたため、エディターの出番がなくなってきました。その理由のひとつとして編集機器が高価な専用のものからパソコンベースのものに変わってきたこともあります。
単純に編集機器をオペレートできるだけの人は仕事を失い、よりクリエイティブに編集ワークをこなせる人たちだけが生き残っている、といえるでしょう。
その中でも、映像合成や特殊効果を専門とする人たちがいます。こうした人たちは、コンポジターと呼ばれたりします。最近の高度な映像技術はこうした人たちに支えられています。
CGというのは、もはや日常語となっているのでご存じと思いますが、コンピュータ・グラフィックスのことです。大きく分けて、3DCGとモーショングラフィックスがありますが、これの専門家も必要に応じて参加します。
音を扱うのもまた、別の専門家です。映像と音は、つきものでありながら別のノウハウを必要とします。編集の終わった映像に、ナレーションや音楽をつける作業をMA(マルチオーディオ)と呼び、これを行うのがMAミキサーです。MAミキサーは多くは録音スタジオに所属していますが、フリーの方もいます。
オリジナルの音楽を作曲してもらうのなら音楽家が、選曲ライブラリの中から適した音楽を選曲してもらうのなら音響効果の専門家(音効さん)が参加します。大阪などでは、MAミキサーが音効さんを兼ねる場合が多いです。
もちろん、ナレーションは専門のナレーターに録音スタジオに来てもらい、吹き込んでもらいます。ナレーションの出来は、作品の完成度に大きく影響しますので、専門家に頼むと全然ちがいます。
こうして出来上がった映像を、たとえばDVDのかたちで配布するなら、オーサリングの専門家に依頼して、ちゃんと動作するDVDのかたちに変換してもらいます。
映像制作は、これらの人々の専門的ノウハウが集まって、行われているのです。
これより少ない人数で行われているケースも多いですが、その場合は一人の人が多くの仕事を掛け持ちしているわけです。