あなたは「うちの会社は良い会社です」と胸を張って言えますか？

製造業の中小企業における人材不足は深刻化の一途をたどっています。
2025年現在、製造業の70.4%が人手不足に悩まされ、求人を出しても応募者がゼロという企業も珍しくありません。

しかし「良い会社」の良さを外部に発信するだけで、人材は必ず集まってきます。

第1章　あなたは「うちの会社は良い会社です」と胸を張って言えますか

製造業の経営者として、この質問にどう答えますか。
即座に「もちろん良い会社です」と言い切れるでしょうか。

もし迷いなく「良い会社です」と断言できるなら、あなたの会社は大きなアドバンテージを持っています。
その良さを外部に正しく発信するだけで、優秀な人材を採用することができます。

一方で、この問いに躊躇してしまう部分があるなら、まずはその部分を見直すことが先決です。
給与水準を大幅に上げることは難しいかもしれません。
しかし給与以外の部分であれば、工夫次第で必ず改善できるはずです。

たとえば製造業の現場なら、安全性や技術力、職場環境など、給与以外にも重要な要素がたくさんあります。
これらの強みを磨き上げることで、求職者にとって魅力的な会社に変わることができます。

大企業との賃金格差は月額65,200円にも及びます。
だからこそ、それ以外の価値で勝負する必要があるのです。

第2章　誰にとって良い会社なのか

良い会社だと断言できる場合でも、重要な質問があります。
それは「誰にとって良い会社なのか」という視点です。

社員ひとりひとりに「うちの会社は良い会社ですか」と尋ねてみてください。
全員が迷いなく「はい」と答えてくれるでしょうか。

製造業を例にとると、現場の職人と管理部門、ベテランと若手で求める価値が異なります。
技術を極めたい職人には成長機会を、ワークライフバランスを重視する若手には働きやすさを提供する必要があります。

社員にとって本当に良い会社であれば、社員ひとりひとりが最高のPRマンになってくれます。
「うちの会社で一緒に働きませんか」と、家族や友人に自然に声をかけてくれるはずです。

実際に、リファラル採用（社員紹介制度）で成功している製造業企業では、採用コストを50～70%も削減しています。
社員が誇りを持って働ける会社こそ、最強の採用力を持つのです。

第3章　改善できない会社に人材は集まらない

もし「良い会社です」と断言できず、すぐに改善もできないとしたら、どうでしょうか。
残念ながら、そのような会社に優秀な人材が集まることはないでしょう。

採用活動に力を入れる前に、まずは社内の改善に全力で取り組むべきです。
外面だけを良くして、求職者をだまして入社させても意味がありません。

入社してしまえば職場の実情はすぐに明らかになります。
労働環境が悪かったり、人間関係に問題があったり、約束された条件と違っていたりすれば、すぐにバレてしまいます。

だまして入社させた社員は、早期離職してしまうだけです。
2024年の製造業における新卒3年以内離職率は28.9%にも達しています。

社内を改善せずに外面だけを取り繕うことは、時間とお金の無駄遣いでしかありません。
本当の意味での採用力向上は、社内改善から始まるのです。

第4章　人材採用に魔法はない

人材採用に特別な魔法は存在しません。
やるべきことは、良い会社の良いところを外に見せていくだけです。

それだけで人材は必ず集まってきます。
なぜなら、大多数の中小企業がそれをできていないからです。

製造業界では、70.4%もの企業が人手不足に悩んでいます。
しかし本当に「良い会社」として認知されている企業は、ごく一部に過ぎません。

技術力の高さ、安全への取り組み、職人を大切にする姿勢、最新設備への投資、教育制度の充実、福利厚生面での柔軟さなど、アピールポイントはたくさんあるはずです。

SNSや自社ホームページ、求人サイトなどを通じて、これらの強みを継続的に発信していきましょう。
従業員が生き生きと働く姿や、最新の生産設備、技術研修の様子などを写真や動画で紹介することが効果的です。

大切なのは、見せかけではなく本物の良さを伝えることです。
表面的な演出ではなく、社員が心から誇りに思える会社の実態を正直に発信してください。

その積み重ねが、必ず優秀な人材との出会いを生み出します。
未来を担う人材が、あなたの会社を選んでくれる日は、必ずやってくるのです。