企業ブランディングとはどういうことか?

放牧される牛たち
無料オンライン相談バナー

「大手企業には知名度で負けてしまう」
中小企業の経営者から、よく聞かれる言葉です。

しかし、大企業でも一般には知名度の低い会社だってありますよね。
そんな企業でも、ブランディングをしっかりしているから、人材を採用できるのです。

このブランディングという考え方、実は中小企業であってもできるのです。

目次

第1章 大企業の採用力とブランドの関係性

大企業が優秀な人材を集められるのは、単に給料が高いからではありません。
最大の理由は、明確なブランドイメージが確立されているからなのです。

求職者が「あの会社で働きたい」と思うとき、その会社のイメージや評判に惹かれています。

大企業であれば、一般の個人相手に商材を売るBtoC企業だけでなく、BtoBの企業であってもブランディングに力を入れている会社が多いのです。

大成建設の「地図に残る仕事」というフレーズを聞いたことがあるでしょうか。
これはまさに、効果的なブランディングの好例です。

この言葉を聞いただけで、大きな橋やダム、病院や競技場といった大きな施設を建設していることがわかります。
求職者は、まさにそうした「地図に残る仕事」をしたいと思って同社の採用試験を受けに来るのです。

キャッチフレーズひとつであっても、企業の価値観や仕事の意義を簡潔に伝えています。

テレビCMや広告、SNS発信など、様々な方法で自社の価値観や強みを伝えることがブランディングです。
求職者の頭の中に「あの会社はこんな会社」というイメージが形成されます

明確なブランドイメージがあれば、その企業に共感する人材が自然と集まってきます。
採用担当者が一人ひとり説明しなくても、企業のブランドが代わりに語ってくれるのです。

第2章 ブランドとは何か?その本質を探る

「ブランド」という言葉の語源は、家畜に焼印を押す行為「ブランディング」から来ています。

昔の牧場主たちは、なぜ自分の家畜に焼印を押す必要があったのでしょうか。

アメリカの西部開拓時代、西部劇の光景を思い出してください。
広い土地で多くの牛が放し飼いにされていました。

広大な牧草地は柵で囲うことも容易ではありません。
広大な牧草地で複数の牧場主の家畜が混ざり合うことがよくあったのです。

牧場主たちは自分の財産である牛を守るために、はっきりと見分けがつく焼印を考案したのです。

また、家畜泥棒から自分の牛を守るという目的もありました。
焼印は簡単に消せないため、盗んだ牛を転売することが難しくなったのです。

このように、自分の家畜と他の家畜を明確に区別するための印が、現代でいうブランドの始まりです。

つまりブランディングの本質は「差別化」にあります。
他社と自社の違いを明確にし、覚えてもらうことがブランディングの基本なのです。

強いブランドがあれば、同じような製品やサービスがあっても、あなたの会社が選ばれます。
人材採用も同じで、似たような条件の企業があっても、ブランド力のある企業に人は集まります

第3章 「関アジ・関サバ」に学ぶブランディングの成功物語

「関アジ」「関サバ」といえば、今では誰もが知る高級魚ですね。
しかし、昔からそうだったわけではありません。

1980年代初め、大分県佐賀関の魚市場
ベテラン漁師は、アジやサバを買おうとする仲買人に語りかけていました。
「うちのアジやサバは違うとや。
豊予海峡の激しい潮流で育った魚は身が引き締まっているけん。
普通の魚とは味が全然違うんよ」

仲買人は首を横に振ります。
「それは知っとるけど、どこでも穫れるマアジ、マサバやけんね。
市場じゃみんな同じアジ、同じサバなんよ。
それ以上の値は付けられんよ」

当時、佐賀関で獲れるアジやサバは、他の地域の魚と同じ価格でしか取引されていませんでした。
漁師たちは味に自信があったものの、市場では単なる「アジ」や「サバ」としか見られていなかったのです。

「このままではいけない。私たちの魚の価値をきちんと伝えなければ」
そう考えた漁協の若手リーダーたちは、ある大胆な計画を思いつきました。

「佐賀関で獲れる特別な魚には、特別な名前をつけよう。
そして特別な漁法で丁寧に扱おう」

「関アジ・関サバ」というブランド名をつけることにしました

ただし、この港で穫れたアジ、サバの全てがこの名を冠せられるわけではありません。

彼らは厳格な基準を設けました。
「一本釣り」という伝統的な漁法で獲った魚。
鮮度抜群で、一定以上の大きさがあり、傷のない魚だけを「関アジ」「関サバ」と名付けたのです。

「一本釣り」とは、魚を一匹ずつ釣り上げる手間のかかる漁法です。

「何で網で一気に獲らないんだ?」と不思議に思う人もいるでしょう。
それは、網で獲ると魚同士がぶつかって傷ついてしまうからです。
一匹ずつ丁寧に釣り上げることで、魚に傷がつかず、鮮度も保たれるのです

船の上でも、魚を大切に扱います。
関アジ・関サバは一匹ずつ丁寧に氷で締め、最高の状態で市場に運ばれます。

このような物語と徹底した品質管理こそが、「関アジ関サバ」の価値を高めたのです。

最初は地元の料理人だけが注目していましたが、それだけでは全国区のブランドにはなりません。

漁協の若手リーダーたちは、大胆な挑戦を決意しました。
「私たちの魚の価値を知ってもらうには、日本の食のプロに認めてもらうしかない」

彼らは東京の有名料亭や高級レストランへ直接「関アジ・関サバ」を持ち込みました。

最初は警戒する料理人もいましたが、一度その身の締まり具合や脂の乗り方を見れば、誰もが驚きの表情を見せたといいます。
「これほどの鮮度と品質のアジやサバは見たことがない」
その場で調理し、味わった料理人たちは次々と「関アジ関サバ」のファンになっていきました。

東京の超一流料亭がメニューに「関アジ」「関サバ」と表記するようになると、雪崩のように評判が広がりました

高級食材として認められたことで、テレビや雑誌での露出も増え、ついには全国の高級料亭やレストランから注文が殺到するようになったのです。

今では「関アジ関サバ」は、普通のアジやサバの何倍もの価格で取引される高級ブランド魚として知られています。

佐賀関漁協の成功は、ブランディングの力を教えてくれます
彼らは自分たちの強み(潮流の速い海域で育った美味しい魚と伝統的な漁法)を明確にし、それを「関アジ関サバ」という名前とストーリーで伝えることに成功したのです。

「最高品質の魚だけを提供する」という明確なブランドイメージが、彼らの最大の財産となりました。

第4章 中小企業のブランディングと採用への効果

今は中小企業でも、ブランディングを行うことが以前より簡単になっています。
SNSやウェブサイトを通じて、少ない予算でも自社の魅力を伝えられるようになりました

中小企業のブランディングで大切なのは、自社のポジションや強み、スピリットを言語化することです。
「私たちはこんな会社です」
「こんな価値観を大切にしています」

を明確に伝えましょう。

大企業のように幅広いイメージではなく、小さくても尖った個性を打ち出すことが効果的です。
「この分野では日本一」
「この技術だけは誰にも負けない」

といった強みをアピールします。

このようなブランディングが成功すれば、大企業には負けない採用力が生まれるのです。
あなたの会社の強みに共感する人材が、自然と集まるようになります。

まとめ 企業ブランディングは最高の採用戦略

企業ブランディングは、単なるマーケティング活動ではありません。
それは最も効果的な採用戦略でもあるのです。

明確なブランドを持つ企業には、その価値観に共感する人材が自然と集まります。
特に若い世代は、給料だけでなく「この会社で働く意味」を重視する傾向があります。

あなたの会社が大切にしていることは何ですか?
それを明確に伝えることで、同じ価値観を持つ最高の仲間が集まるでしょう。

企業ブランディングと採用は表裏一体なのです。
ブランディングに投資することは、未来の仲間への投資でもあると言えるでしょう。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次