東京都が選定した「育業」という言葉。
これは単なる育児休業の言い換えではありません。
「ライフ」もまた業であるという発想の転換です。
企業が「ワーク」だけでなく「ライフ」もサポートする存在になるべきではないか。
そうすれば社員の定着率が上がり、より安定的な経営が実現できるのではないでしょうか。
第1章 育業が投げかける経営者への問い
「育業」という新しい言葉
育業という言葉をご存知でしょうか。
寡聞にして私は存じませんでした。
これは東京都が育児休業の愛称として2022年に選定した言葉です。
8,825件の応募の中から選ばれました。
「ライフ」もまた業である
この言葉は、単なる育児休業の言い換えととらえてはいけません。
育児を含む「ライフ」もまた業である、という発想の転換と考えるべきなのです。
育児は仕事を休むことではなく、取り組むべきもうひとつの仕事なのです。
経営への問いかけ
この発想は、企業経営に根本的な問いを投げかけています。
会社は「ワーク」だけを提供すればよいのでしょうか。
それとも「ライフ」にも向き合うべきなのでしょうか。
第2章 失われた「社員は家族」と個人主義の時代
かつての「社員は家族」
かつて日本企業には「社員は家族」という意識がありました。
この考え方は、江戸時代の商家に始まり、昭和の戦前に至るまで、こうした価値観は広く根付いていました。
美辞麗句への変質
しかし、高度成長期からバブル期にかけて、いつの間にかその言葉は変質してしまいました。
「社員は家族」は、社員を都合よく働かせるための美辞麗句になってしまっていました。
長時間労働やサービス残業を強いる口実になってしまったのです。
個人主義の時代へ
その反動として訪れたのが、個人主義の時代です。
今、社員の側から会社に距離を取りはじめています。
転職は当たり前になり、会社への帰属意識は薄れています。
「ワーク」だけでは繋がれない
なぜ社員は会社から離れていくのでしょうか。
それは会社を「ワーク」だけの場、捉えているためでしょう。
給与や待遇という交換条件だけでは、もはや繋がりを保てない時代になっているのです。
第3章 「ライフ」をサポートする会社への転換
企業の役割を再定義する
企業の役割を再定義する必要があります。
「ワーク」のみならず「ライフ」もサポートする会社。
これは人材確保のための表面的な戦略ではなく、企業と社員の関係性そのものを見直す取り組みです。
中小企業だからこそできること
そんな大それたことは大企業にしかできないことだ。
そんな風にお思いでしょうか?
中小企業だからこそできる実践があります。
中小企業には、経営者と従業員の距離が近いという強みがあります。
一人ひとりの顔が見える関係性を活かせるのです。
具体的な実践方法
経営者として、従業員一人ひとりの「ライフ」の事情を知る。
育児中の従業員がいれば、定期的に対話の機会を持つ。
時短勤務や在宅勤務を、その人の状況に応じて運用する。
子どもの急な発熱で早退が必要になったとき、寛容な姿勢で送り出せるかどうか。
それが「ライフ」をサポートする会社かどうかの分かれ目です。

トップの姿勢が文化を変える
何より大切なのは、トップ自身が自分の「ライフ」を大切にする姿を見せることです。
経営者の意識改革が、組織文化を変えます。
これは新しい「社員は家族」の形です。
都合よく働かせるためではなく、お互いの人生を支え合う関係を築くのです。
第4章 安定経営への新たな道筋
社員の定着率向上がもたらすもの
会社が「ライフ」もサポートするという意識改革。
この転換がもたらすのは、社員の定着率の向上です。
頻繁な採用活動にかかるコストが削減でき、長く働く社員が増えればノウハウが蓄積されます。
より安定的な経営基盤が構築されるのです。
長期的な投資という視点
これは短期的なコストではなく、長期的な投資です。
社員が人生を豊かに生きられることが、企業の持続可能性につながります。
経営者自身のワークライフバランスも見直す必要があります。
トップが疲弊していては、社員の「ライフ」を支えることはできません。
今日から始める第一歩
今日から始められる小さな一歩があります。
社員一人ひとりの生活状況を知ることから始めてください。
育児や介護の事情を話しやすい雰囲気をつくってください。
「ライフ」を大切にする姿勢を、言葉と行動で示してください。
企業の役割の再定義
時代とともに、企業の役割は変わりました。
かつては「ワーク」のみが会社に課せられていました。
今は「ワーク」のみならず「ライフ」のことも、会社にとっての課題だと私は思います。
新しい時代の経営者として、企業の役割を再定義しましょう。
「育業」という言葉が示す発想の転換を、あなたの会社から始めてみませんか。





コメント