今、多くの中小企業経営者の皆さんが「良い人材をどう見つけるか」で頭を悩ませていることでしょう。
求人サイトに掲載しても応募が来ない、来ても求める人材とマッチしない。
そんな悩みを解決する鍵のひとつは「リファラル採用」です。
今回は、リファラル採用を活発にする具体的な方法と、もたらす効果について、わかりやすくお話しします。
第1章 リファラル採用って何?なぜ今注目されているの?
リファラル採用とは何か?
リファラル採用とは、簡単に言うと「社員による知人紹介」のことです。
既存の社員が自分の友人や知人、元同僚などを会社に紹介し、それが採用につながる仕組みですね。
「縁故採用」と混同されがちですが、全く違います。
縁故採用は血縁関係や強いコネクションに基づくものですが、リファラル採用は社員が「この人と一緒に働きたい」と思える人を紹介する、よりオープンで健全な採用手法なんです。

リファラル採用のメリット
なぜリファラル採用が注目されているのでしょうか?
その理由は明確です。
採用コストの大幅削減
求人サイトへの掲載費用や人材紹介会社への手数料と比べて、リファラル採用のコストは圧倒的に安く済みます。
質の高い人材の確保
社員が紹介するということは、その人の人柄やスキルを実際に知っているということ。ミスマッチの可能性がグッと下がります。
定着率の向上
知り合いの紹介で入社した人は、会社の雰囲気や文化をある程度理解した上で入ってくるため、長く働いてくれる傾向があります。
日本の実情
実際のデータを見てみましょう。
2024年の調査によると、日本企業の62.5%がリファラル採用を実施しています。
リファラル経由で採用された人材の成功率は30%(他の手法は7%)という驚異的な数字が出ています。
さらに、リファラル採用者は46%高い定着率を示しています。
通常39日かかる採用期間を21日も短縮できることがわかっています。
インセンティブの実態についても触れておきましょう。
2024年の最新調査(2,680社対象)では、紹介者への報酬設定状況は以下の通りです:
- 報酬なし:14.3%
- 1~9万円:46.9%
- 10~29万円:31.3%
- 30万円以上:6.8%
つまり、約85%の企業が何らかの金銭的インセンティブを設けています。
最も多いのは1~9万円の範囲です。
ただし、後ほど詳しくお話ししますが、必ずしも高額な報酬が成功の鍵ではないということも重要なポイントです。
第2章 実際の成功事例から学ぼう
中小企業でも実現可能な活性化策
大手企業だけの話ではありません。
中小企業でも工夫次第で素晴らしい成果を上げている会社がたくさんあります。
メルカリの「ごめんねごはん制度」
興味深いのは、紹介した人が採用に至らなかった場合でも、会食費用を会社が負担してフォローするところです。
「紹介してくれてありがとう」という気持ちを形にした制度ですね。
freeeの「お弁当制度」
友人をオフィスに招いて一緒にお弁当を食べるという、とてもカジュアルな制度です。
堅苦しい面接ではなく、リラックスした雰囲気で会社を知ってもらえます。
SmartHRの段階的アプローチ
社員16名の時からリファラル採用を開始し、現在は内定者の約30%がリファラル経由という成果を上げています。
小さく始めて大きく育てた好例です。
金銭以外のインセンティブ活用
お金をかけなくても、社員のモチベーションを上げる方法はたくさんあります:
- 感謝の気持ちを形にする:限定グッズや表彰制度
- 体験をプレゼントする:旅行券やスキルアップ研修
- 社会貢献の機会:慈善団体への寄付選択制
実際の効果
これらの取り組みにより、多くの企業が以下のような効果を実感しています:
- 採用コストが従来の半分以下に
- 求める人材像にマッチした応募者の増加
- 社員のエンゲージメント向上
- 会社の魅力を言語化する力の向上
第3章 今日から始められるオリジナルアイデア3選
1. 「友人飲み会支援制度」
転職を考えている可能性のある友人との飲み会費用を会社が負担する制度です。
ただし乱用を防ぐため、事前に「どんな経歴の友人か」「転職の意向がありそうか」を簡単に申告してもらいます。
リラックスした雰囲気の中で自然に会社の話ができ、相手も構えることなく話を聞いてくれるでしょう。
2. 「社内勉強会友人招待制度」
月1回くらい開催する社内勉強会に社員の友人も参加可能にする制度です。
今なら「ChatGPTを業務にどう活用するか」「AI時代のスキルアップ」といったテーマが人気でしょう。
もちろん、社内の業務にこうした新しいスキルを取り入れるためにも役立ちます。
外部から専門の講師を招くことも視野に入れましょう。
社員にとっても、その友人にとっても価値ある学びの場になります。
「面白そうな勉強会があるから一緒に参加しない?」という自然な誘い方で、会社の雰囲気や取り組みを知ってもらえます。
3. 「繁忙期副業サポート制度」
業務が忙しい時期に、社員の友人に副業として手伝ってもらう制度です。
データ入力や資料作成、工場内での軽作業、商品の梱包・発送など、スキルレベルに応じた業務をお願いします。
もちろん適正な報酬をお支払いするわけです。
大切なのは金銭面よりも、実際の仕事の進め方や職場の雰囲気を肌で感じてもらうこと。
「忙しくて困ってるから、ちょっと手伝ってもらえない?」という自然なお願いで、会社の内情を深く理解してもらえます。
第4章 リファラル採用が会社にもたらす素晴らしい変化
全社員が採用の当事者になる
リファラル採用を活性化すると、採用は「人事部だけの仕事」ではなくなります。
全社員が「どんな人と一緒に働きたいか」「この会社にはどんな人が合うか」を真剣に考えるようになるんです。
これって実は、組織全体の採用力向上につながる大きな変化なんですね。
会社の魅力を言語化できるようになる
「友人に会社を紹介する」ということは、自分の言葉で会社の良さを説明する必要があります。
この過程で、社員一人ひとりが会社の魅力を具体的に言語化できるようになります。
結果として、社員のエンゲージメントが向上し、顧客や取引先に対しても自然に会社の良さをアピールできるようになるという、思わぬ副次効果も生まれます。
組織文化の強化
リファラル採用が活発な会社では、「この人と一緒に働きたい」という基準で人材が集まります。
つまり、既存社員と価値観や働き方が合う人が自然と増えていくんです。
これにより、組織の結束力が高まり、離職率の低下や生産性の向上といった効果も期待できます。
経営者の負担軽減
何より嬉しいのは、経営者の皆さんの採用に関する負担が大幅に軽減されることです。
社員が自発的に優秀な人材を連れてきてくれるようになれば、経営者は本業により集中できますよね。
まとめ~小さく始めて大きく育てよう~
リファラル採用の活性化は、決して大きな予算や複雑なシステムを必要とするものではありません。
大切なのは、社員が「この会社を友人に紹介したい」と思えるような環境を作ること、そして紹介しやすい仕組みを整えることです。
まずは今回ご紹介したアイデアの中から一つでも、来週から始めてみませんか?
小さな一歩が、やがて会社全体を変える大きな力になるはずです。
人材不足という課題を、社員の力を借りて解決する。
それがリファラル採用の本当の価値なのかもしれませんね。
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