「最近の若者の考えていることはわからない」
そういう経営者が数多いことは知っています。
経営者と若手社員の間にある世代間ギャップ。
それは、育ってきた時代の違いそのものです。
そんな実感をまとめています。
ゴッドタンADの「健やかな退職」
ネットニュースの記事に、こんなエピソードが載っていました。
日刊スポーツに掲載された「佐久間宣行、新人ADの退職理由に『新時代突入』と驚き 『健やかに辞めていきます』」(https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202604020000406.html)
元テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行氏が、ニッポン放送のラジオ番組「佐久間宣行のオールナイトニッポン0」で語った話です。
自身がプロデュースする番組「ゴッドタン」の新人女性AD(アシスタント・ディレクター)が退職することになった。
その理由を聞いたら、こう言われたというのです。
「ゴッドタンをやりたくて制作会社に入ったんですけど、1年やって楽しかったので辞めます」
佐久間氏は大笑いしながら、こう続けました。
「健やかに辞めていきます。
あっけらかんと辞めていきます」
怒っていません。
責めてもいません。
「何の文句もないです」と笑って送り出している。

さすがは時代の流れを肌で感じている制作者です。
私はこの話を読んで、しばらく考え込んでしまいました。
就職が「体験」になっている
これは特殊な事例ではないと思います。
今の若い世代にとって、就職は「キャリアを積み上げるもの」ではなくなりつつあります。
むしろ「やってみたいことを体験するもの」になっているのではないでしょうか。
夢だった仕事に就く。
1年間、思いきりやってみる。
楽しかった。
満足した。
だから次へ行く。
この行動パターンは、私たちの世代から見ると理解しにくいものです。
しかし、今の若者たちの間では、こういう動き方が広がっています。
就職を「体験の収集」として捉えている。
そう見ると、このADの行動は筋が通っています。
蓄積に意味がないと、見切っている
なぜこうなったのか。
私はこう考えています。
社会の変化が、あまりにも早くなりすぎたからです。
かつては「石の上にも3年」という言葉が機能していました。
一つのことを長く続ければ、必ず力になる。
その前提が、今は崩れかけています。
若者たちは肌で感じているのだと思います。
「一つを突き詰める前に、世界が変わってしまう」ということを。
だから「蓄積することに意味がない」と、本能的に見切っているのではないでしょうか。
体験を積み重ねる。
いろんな世界を知っておく。
その方が、変化の早い時代を生き抜けると判断している。
これは無責任な生き方ではありません。
変化の早い時代への、合理的な適応だと私は思っています。
40年のキャリアが宙に浮いた
実は、これは他人事ではありません。
私自身の話をします。
私は40年以上、映像制作の世界に身を置いてきました。
ビジネス映像の制作を中心に、映像というものを仕事にしてきた。
しかし今、そのキャリアに対して、ある種の後悔を感じています。
今の時代、「映像」ではなくて「動画」という言葉が多く使われます。
多くの人がイメージするのは、YouTubeやSNSの動画です。
私が映像制作の現場で積み上げてきた経験は、そこではあまり活きてきません。
テレビ世代の私と、スマホでYouTubeを見て育った若者たちとでは、「映像(動画)」の定義そのものが違うのです。
私は長い間、自分の映像制作の経験とSNS動画は「全く別のもの」だと思ってきました。
しかしそれは、自分の蓄積を守ろうとする言い訳だったのかもしれません。
40年かけて積み上げたものが、時代の変化によって宙に浮いてしまった。
ゴッドタンADの話を聞いて、私はそう感じました。
知らないと、採用できない
中小企業の経営者の方に、一つお伝えしたいことがあります。
私は今、求人支援の仕事に取り組んでいます。
そこで強く感じているのが、この世代間のギャップです。
「最近の若者は根性がない」
「すぐ辞める」
「忍耐力がない」
そう言いたくなる気持ちはわかります。
しかし、それで止まっていては採用はできません。
理解できなくていいと思います。
でも、知らないといけません。
今の若者たちは、就職を「体験」として捉えています。
蓄積よりも、体験の幅を広げることを優先しています。
それが、変化の早い時代を生きる彼らの戦略なのです。
この前提を知らずに採用活動をしても、うまくいきません。
求人票の書き方も、面接での話し方も、入社後のかかわり方も、すべて変わってきます。
まず、こういう若者がいるということを知ることから始めてみてください。
そこからしか、採用の話は始まらないと思っています。





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