フルリモートOK、高給、成長環境。
条件を整えても応募が来ない。
来てもすぐ辞める。
その原因は「伝え方」にありました。
中小企業こそ活用すべき、価値観で人を惹きつける採用戦略を解説します。
第1章 せっかく採用した若者がすぐ辞める「なぜ」
人手不足で困っている中小企業経営者の悩みは深刻です。
求人サイトに高い掲載料を払う。
給与や福利厚生を見直す。
リモートワークも導入する。
それでも応募は来ません。
運よく採用できても、3ヶ月、半年で辞めていきます。
「最近の若者は我慢が足りない」と嘆きたくなる気持ちもわかります。
でも、ちょっと待ってください。
本当に問題は若者にあるのでしょうか。
条件面では申し分ないはずなのに、なぜ人が定着しないのでしょうか。
実はこの「なぜ」こそが、採用成功の鍵を握っています。
問題は条件ではなく「伝え方」にあるのです。
より正確に言えば、何を伝えているかではなく、何を伝えていないかが問題なのです。
第2章 合ってるはずなのに食い違う「なぜ」
ダイヤモンド・オンラインの記事
『「フルリモートOK!」「若手でも成長できる環境」をアピる会社で、社員がポロポロ辞めていくワケ』
で、採用コンサルタントの秋山真氏が重要な指摘をしています。
「当社はフルリモートOKです」
「若手でも成長できる環境です」
「風通しがいいですよ」。
こんな言葉を企業の採用ページでよく見かけます。
これらはすべて、いわゆる”カルチャーマッチ”に関する訴求です。
つまり「どう働くか」という情報です。
しかし秋山氏は、カルチャーだけでは”本質的な相性”は測れないと断言しています。
なぜでしょうか。
同じ「成長できる環境」でも、企業によって意味が全く異なるからです。
秋山氏はこう説明します。
ある企業では「とにかく時間と量をこなすことが成長につながる」という価値観のもと、シャカリキに仕事に打ち込む姿勢が評価されています。
一方で別の企業では「自律性の高さこそが成長に不可欠」ととらえ、当事者意識を持って自分で判断し動けることが重視されています。
表面的には両方とも「20代で成長できる環境」です。
でも、求められるスタンスや評価される行動はまったく異なります。
ここに食い違いが生まれます。
求職者が「成長したい」と思って入社する。
企業側も「成長できる環境」を用意していると信じている。
双方の思惑は一致しているように見えます。
なのに、入社後に「こんなはずじゃなかった」となるのです。
なぜか。
制度や雰囲気(カルチャー)は語っても、その奥にある「なぜそうしているのか」という価値観(スタイル)を語っていないからです。
出典:「フルリモートOK!」「若手でも成長できる環境」をアピる会社で、社員がポロポロ辞めていくワケ(ダイヤモンド・オンライン)
第3章 制度の裏側にある「なぜ」を語る
中小企業は大手に条件で勝てません。
給与、福利厚生、知名度。 どれをとっても不利です。
でも、諦める必要はありません。
価値観なら差別化できるからです。
むしろ中小企業の方が有利です。
経営者の想いが明確で、現場との距離が近く、一体感があります。
その「らしさ」を言語化して伝えるだけで、採用は変わります。
では、どうやって言語化するのか。
キーワードは「なぜ」です。
自社の制度や文化を見直してください。 そして、それぞれに「なぜそうしているのか」と問いかけてください。
実践ワーク:3つのステップ
ステップ1 自社が大切にしていることを3つ書き出す
売上や利益ではありません。
「働き方」や「判断基準」に関するものです。
例えば、スピード、顧客第一、チャレンジ、相互サポート。
ステップ2 それぞれ「なぜ大切にしているか」を説明する
ここが最も重要です。
制度や文化の背景にある理由を掘り下げます。
経営者自身の経験や信念が反映されているはずです。
ステップ3 求人票と面接で具体的に語る
秋山氏は、カルチャーをスタイルに変換する例として以下を挙げています。
「フルリモートOK」「完全フレックス」という制度があるとします。
これだけでは単なる制度の話です。
スタイルとして伝えるなら、こう語ります。
「時間の使い方は自分で最適化すべきという価値観がある」
「信頼があるから自由がある、と考えているからこそ働き方を委ねている」
このように、制度の「なぜ」を語るのです。
中小企業の具体例で考えてみましょう
「うちは残業が少ないです」と言うだけでは弱い。
なぜ残業を減らしているのかを語ります。
「家族との時間を大切にできる人が、顧客にも誠実に向き合えると信じているから」
「風通しがいいです」も同じです。
なぜ風通しを大切にしているのか。
「社長の私が間違っていたら、誰でも指摘してほしい。そういう文化が会社を強くするから」
この「なぜ」が、求職者の心に響きます。
なぜなら、同じ価値観を持つ人は、その「なぜ」に共感するからです。
逆に価値観が合わない人は、この時点で離れていきます。
これこそが、ミスマッチを防ぐ最良の方法です。
第4章 「なぜ」を問い続けることで採用が変わる
価値観を明示すると、応募数は減るかもしれません。
でも恐れる必要はありません。
なぜか。
質が確実に上がるからです。
中小企業にとって、100人の「なんとなく応募」より、3人の「価値観が合う応募」の方がはるかに価値があります。
価値観採用の3つのメリット
面接の段階でミスマッチが減ります。
入社後の早期離職が激減します。
採用コストの無駄が減ります。
面接でも「なぜ」を使う
価値観を語った上で、率直に聞いてください。
「この考え方に共感できますか」と。
そして、求職者にも「なぜ」を問いかけます。
「なぜ当社を選んだのですか」
「なぜその働き方を望むのですか」
表面的な答えではなく、その奥にある価値観を聞き出します。
注意すべき点が一つあります
価値観は飾らないでください。
見栄を張って語ると、入社後にバレて逆効果です。
ありのままの自社を語ること。 それが長期的には最良の戦略です。
なぜなら、あなたの会社と本当に合う人材だけが残るからです。
まとめ 「なぜ」が採用を変える
せっかく採用した若者がすぐ辞める「なぜ」。
社員の要望とこちらの提示が食い違う「なぜ」。
その答えは、制度の裏側にある「なぜ」を語っていないからでした。
中小企業の採用は「量より質」です。
大手のような求人広告費は使えません。
だからこそ、お金では買えない「価値観」を武器にしましょう。
経営者の言葉で、自社の「なぜ」を語る。
それが、本当に必要な人材を惹きつける最強の採用戦略です。
「なぜ」と問い続けてください。
自社の制度に。
自社の文化に。
自社の働き方に。
その答えを求職者に伝えてください。
そうすれば、採用は必ず変わります。






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