「認定なんてうちには関係ない」そう思っている間に、採用できる会社とできない会社の差は広がっています。
この連載(全3回)は、厚労省のユースエール認定制度を通じて、信頼で選ばれる中小企業をつくる方法を解説します。
最終回となる今回は、認定取得までの具体的なステップと行動指針をお伝えします。
STEP0 現状を数字で見るところから始める
ユースエール認定を目指す最初の一歩は、「現実を見える化」することです。
「離職率はだいたい低い」
「残業はそんなにない」。
こうした肌感覚のままでは、申請以前にデータが整いません。
まずは、次の4つを集計してみてください。
- 過去3年間の新卒・若手社員の離職率
- 直近1年間の月平均残業時間
- 正社員の有給休暇取得率
- 育児休業の取得状況(男女別)
この段階で「うち、意外と数字が出せないな」と感じる会社が多いです。
でも、それこそが出発点です。
集計の仕組みを作ることが、すでに働き方改革の第一歩なのです。
感覚から数値へ。
経営の透明度を上げるだけで、社内の信頼も変わります。
STEP1 「整える」 改善は一気にではなく確実に
数字が見えたら、次は整備です。
ユースエール認定の基準は、決して理想論ではありません。
中小企業でも、少しずつ積み上げれば十分に届きます。
1. 労働時間の見直し
勤怠システムなどで残業の可視化を行います。
不要な会議や押印など「形だけの仕事」を削減します。
2. 教育制度の整備
「新人研修」よりもメンター制度の方が効果的です。
経験者が若手をサポートする文化をつくります。
3. 有給・育休の促進
管理職が率先して休むことで社内に空気をつくります。
育児・介護との両立を「特別扱い」ではなく「普通」にします。
改善は完璧より継続。
無理なく回る仕組みに落とし込むことがコツです。
STEP2 「申請する」 ハードルは意外と低い
準備が整ったら、都道府県の労働局に申請します。
申請費用は無料。
必要なのは「書類」と「実態」です。
主な流れ
- 労働局の窓口またはWebで申請書を入手
- 離職率・残業・有給などのデータを記載
- 教育訓練計画・育休制度などの資料を添付
- 書類審査 → 現地確認 → 認定通知
期間はおおよそ3〜4か月。
基準を満たしていれば、特別な準備をしなくても通過します。
「やっているのに伝わっていない会社」が、いちばんもったいないのです。
STEP3 「広める・活かす」 認定はゴールではない
ユースエール認定を受けた瞬間から、会社の見せ方を変えるチャンスが始まります。
1. 採用に活かす
求人票・会社案内・ホームページに認定マークを掲載します。
ハローワークや就職説明会で「厚労省認定企業」と紹介することができます。
これは意外と効くのです。
2. 社内に浸透させる
朝礼で報告し、社員の誇りとして共有します。
「この会社で働く意味」を数字とマークで可視化します。
3. 継続的な改善
認定は1年更新。
次回更新を目標にPDCAを回します。
有給取得率・残業時間を四半期ごとに確認します。
ユースエールは「証明書」ではなく「成長の証」。
会社がどう変わるかは、認定をどう使うかで決まります。
まとめ
ユースエール認定は、選ばれる会社をつくるための最短ルートです。
最初は数字を出すだけでも抵抗があるかもしれません。
でも、その数字こそが信頼です。
「整える」→「申請する」→「広める」。
この3ステップを着実に進めれば、「うちは人が来ない会社だから」とは、もう言えなくなります。
次の採用市場では、いま行動する経営者が勝ち残るのです。
あなたの会社も、その証を立てる番です。




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