若手が辞めていく。
その理由を「給料」や「仕事内容」だと思っている経営者は、少なくないでしょう。
でも、ちょっと待ってください。
データを見ると、少し違う景色が見えてきます。
若手離職の本当の火種はどこにあるか
厚生労働省の調査によると、大卒の新入社員のおよそ3人に1人が、3年以内に会社を辞めている。
この数字は、ここ25年ほどほとんど変わっていません。
では、なぜ辞めるのか。
転職サービスdodaの調査で、1年以内に転職した20代に「転職の一番の理由」を単一回答で聞きました。
第1位は「人間関係が悪い/うまくいかない」でした。
しかも他の年代と比べると、2〜3倍ほど高い比率だったといいます。
給料でも仕事でもない。
人間関係なんです。
そして、その人間関係の問題は、多くの場合、上司や経営者との間で起きています。
若手の心を閉じさせる、あの一瞬
東洋経済オンラインに、こんな記事が掲載されました。
経営コンサルタントの勝木健太氏による「おじさんの9割はメンツでできている」(https://toyokeizai.net/articles/-/942516)(2026年5月7日)です。
この記事は、もともと若い世代に向けて書かれたものです。
「上司のメンツを傷つけずに意見を通すには?」という内容です。
でも、裏返して読むと、経営者への警告になっています。
記事の中に、こんな一節があります。
若手が「それ、今のやり方だと効率悪いですよね」と言う。
内容は正しい。
しかし言われた側は
「これまでのやり方を否定された」
「経験を軽く見られた」と感じてしまう。
これ、思い当たりませんか?
若手が提案や意見を口にした瞬間、経営者の表情や口調が変わる。
若手はその一瞬を、しっかり見ています。
「あ、この人には話せない」と感じた若手は、それ以降、黙るようになる。
黙った若手が次にとる行動は、だいたい決まっています。
転職サイトを開くことです。
ムッとの正体
では、なぜ経営者はムッとしてしまうのでしょうか。
若手の言っている内容が間違っているから、ではないことがほとんどです。
むしろ正しいから、ムッとする。
これはメンツへの脅威反応です。
「自分の立場が揺らいだ」という感覚が、瞬間的に怒りとして出てくる。
内容への反発ではなく、感情的な反応なのです。
感情的な反応だとわかれば、コントロールできます。
ここで参考になるのが、アンガーマネジメントで知られる「6秒ルール」です。
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会によると、怒りの感情のピークは6秒程度でおさまるといいます。
カッとなった瞬間に、6秒だけ待つ。
それだけで、衝動的な反応を避けられる可能性が高くなります。
難しいことは何もありません。
深呼吸を一回する。
返事を一拍遅らせる。
ただそれだけです。

6秒待てる経営者のもとに、若手は残る
6秒待って、どうなるか。
経営者がムッとしなければ、若手は「あ、聞いてもらえた」と感じます。
次も話してみようと思います。
提案が出てくるようになります。
逆に言えば、若手が提案を持ってこない職場は、過去のどこかの一瞬で、経営者が若手の口を閉じさせている可能性があります。
採用に苦労している中小企業経営者は多いと思います。
でも、採用より先に、いまいる若手が定着する職場をつくることのほうが、ずっとコストが低い。
そのための第一歩が、若手が何か言ってきた時に、6秒待てる自分をつくることではないかと思います。
小さなことのようで、じつはそうではないのです。





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