普段なにげなくやっていることでも、改めて他人にわかるように書くことは難しい。
この講座もいろいろと考えてはいるのですが、なかなか筆が進みません。
ぼちぼちと進めていきますので、あしからず。

「家を紹介する」にたとえてみよう。

前回、「映像には映像の論理があるので、文章の論理でシナリオを書いてはいけない」ということを書きました。
この「映像の論理」についてなかなかいいたとえ話が浮かびませんでした。

ひとつ思いついたので、それで話を進めていきましょう。

シナリオを書く時、一番考慮しなければいけないのは「視聴者を戸惑わせないこと」です。
視聴者の頭脳には、映像が上映されていく順番で、情報がインプットされていきます。
そのため、順番を間違えると混乱してしまいやすい。
そうした混乱を起こさずに情報を伝えることが一番大切なことです。

で、思いついたのは「家を紹介する」というたとえ話です。
とりあえずあなた自身の商品やサービスは頭の中から消し去って、あなたは不動産業者で家を紹介する映像を制作しているのだ、と思ってください。

家を紹介する順番

家を紹介する時、あなたならどこから始めますか?

「この家の中心は1階のリビングダイニングキッチン(LDK)です。ここが家の中心で一番大切な空間なので、LDKから紹介をはじめます」
という人はおそらくいないでしょう。

そんなことをしたら、どんな家だか見当もつかないのに視聴者いきなりLDKを見せられることになってしまいます。

おそらく、ほとんどの人がまず家の外観を見せようと思うでしょう。
外観を見れば、どんな家かがわかりますし、その家が魅力的かどうかはまず外観に出るはずですから。

それで、外観を見せたあと、すぐLDKを見せるでしょうか?
たぶん、そうはしないでしょうね。

外観を見せたら、次に見せるのは玄関ではないでしょうか。
訪問者の視線というか、外から中に入っていくのは当然ですよね。

玄関のあと、LDKまで廊下があったとして、そこを次に見せるかどうかは意見が分かれるところじゃないかと思います。
ある人は玄関を入ると、廊下は省略して、一番大事なLDKに行くかもしれません。
また別の人だと、律儀に、玄関を入り、廊下を通って、LDKに至る導線をていねいに描写するかもしれません。

でも、おそらく次に見せるのは、この家の一番大事な空間であるLDKではないでしょうか。

そう。その「順番」が大事です。

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