実は、人手不足は起こらない

「うちは人手不足だ」と感じている経営者は多いはずです。
しかし経済産業省の最新データが示した結論は真逆でした。

問題の本質は「不足」ではなく「ミスマッチ」です。
その意味を、データとともに解説します。

目次

第1章 「人手不足」という思い込みを、いったん疑ってみてください

2040年、日本で大きな人手不足は起こりません

こう断言すると、「そんなはずはない。うちは今まさに人手不足だ」と感じる方がほとんどだと思います。
その感覚は正しいです。

しかし、その原因の見方が違うかもしれません。

実は「人手不足」という言葉は、2つの全く違う問題を混ぜています

ひとつは「今まさに人が足りない」という目の前の現実です。
もうひとつは「これからも構造的に人が足りない」という将来予測です。

この2つは、切り離して考える必要があります。
この記事では、その違いをデータで説明します。

第2章 経産省のデータが示した「衝撃の結論」

2026年1月、経済産業省が「2040年の就業構造推計(改訂版)」を公表しました。
その結論は「大きな人手不足は生じない」というものでした。

2040年の就業者数は現在より約700万人減り、6303万人になる見通しです。
それでも人手不足にならない理由は3つあります。

AIやロボットの活用で約200万人分の省力化が進みます。
産業構造が成長型に転換します。
仕事のやり方そのものが変わります。

  • AIやロボットの活用で約200万人分の省力化が進みます。
  • 産業構造が成長型に転換します。
  • 仕事のやり方そのものが変わります。

さらに重要な視点があります。

人口が減ると、消費者も同時に減ります。
消費者が減れば、仕事の総量も縮小します。
つまり「働き手が減る」と同時に「仕事そのものも減る」のです。

「2040年には1000万人以上が不足する」という予測をよく耳にします。
しかしその予測には、この視点が完全に抜けています。

(引用元:マネーポストWEB「経産省が公表した『2040年の就業構造推計(改訂版)』の衝撃的な内容」河合雅司 https://www.moneypost.jp/1368764)

第3章 本当に起きているのは「不足」ではなく「ミスマッチ」

同じ推計が、さらに驚くべき数字を示しています。

事務職は2040年に437万人が余剰になります
一方、AIロボット人材(AI技術やロボット技術に精通し、実務で活用できるスキルを持つ人材)は339万人、現場人材は260万人が不足します

「余る仕事」と「足りない仕事」が、同じ日本の中に同時に存在するのです。
これがミスマッチです。

地域でも同じことが起きます。
東京圏では事務職を中心に約193万人が余剰になります。
一方、地方では現場人材もAI人材も確保できない状況になります。
「東京に出れば仕事がある」という常識も、崩れ始めています。

今まさに人手不足を訴えている業種の多くは、現場人材が足りない側にいます。
これは見方を変えれば、これから起きる「人材の大移動」の受け皿になれるポジションです。

第4章 事務職出身者は「ドロップアウト」ではなく「新しい即戦力」

多くの経営者は、こんな採用観をお持ちじゃないでしょうか。
「新卒を採用してイチから育てたい」
「中途採用は同業経験者、即戦力に限る」

という考え方です。 これまでの時代には、それが正しかったのです。

しかしこれから起きることを考えると、その常識が機会損失になります。

大企業の事務職(ホワイトカラー)から、製造業・建設業・運輸業などへ転職する人がこれから急増します。

その人たちを
「なぜ大企業を辞めたのか」
「うちの業界の経験がない」
と敬遠する必要はまったくありません。

事務職がAIに代替されていく流れは、本人の能力や根性とは無関係です。
時代の構造変化が、その人たちを動かしているのです。

見方を変えれば、こういうことです。

大企業で鍛えられた段取り力・文書作成力・顧客対応力を持つ人材が、今まさに市場に出てきます
これを「拾える会社」と「見逃す会社」に、これから大きな差がつきます。

「人手不足だから困っている」と嘆く前に、動いてください。
他の会社より先に、その人たちに声をかけた会社が勝ちます。
人材の大移動は、中小企業にとって最大のチャンスです。

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