ランダムアクセスとシーケンシャルアクセス
では、そもそも印刷物と映像というのは、どのように違うのでしょうか?
印刷物というのは、ランダムアクセスな媒体です。
ランダムアクセスというのは、読む人が自分の意思でいろいろな箇所をランダムに見ていける、ということです。
たとえばパンフレットを渡されたら、あなたならどう読みますか?
最初のページから丁寧に1ページずつ読んでいく人もいるでしょう。
まずパラパラとページを全部めくってから、自分の興味があるページだけを読んでいく人もいるでしょう。
それくらい、読み方は自由なわけです。
いっぽう、映像はそんなに自由には見られません。
停止したり巻き戻したりといったコントロールがあなたの手にない場合も多いでしょう。
あなたが自分のパソコン上で一人で見ているのだとしても、一度通しで見てから、興味のある部分をもう一度見よう、と思うはずです。
つまり、映像はシーケンシャル(連続的な)媒体なのです。
時間軸上で、ひとつひとつの情報が、意図を持ってつながっています。
Aのシーンを見たから、Bのシーンで説明された情報が理解でき、それがCというシーンに結びついて印象に残る。
そんなつながりになっています。
そのため、情報を提示する順番が非常に重要になってきます。
どこが一番印象に残るのか?
ここでクイズです。
印刷物(ページもの)と、販促映像で、それぞれ一番印象に残るのはどの部分でしょうか?
印刷物のクリエイターに言わせたら違うというかもしれませんが。
私はページものの印刷物で一番印象に残る部分は、表紙をめくった最初の見開きだと思います。
多くのパンフレットが、ここに一番デザイン力を注いでいます。
では映像の場合は?
映像の場合は、私は「ラス前(ラストシーンの直前)」と答えます。
ラストシーンというのは、締めくくり、エンディングですが、その直前に配置された情報が一番印象に残ります。
これは映像がシーケンシャルな媒体であり、最初から順に情報が積み重なっていくからです。
新しい情報が提示されるたびに、印象が上書きされていくので、最後の印象のほうが強く残るというわけです。
また逆に言えば、そのように作らないと、あまり効果を発揮しない、ということでもあります。
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