求人票は「Why(なぜ)」からはじめよう

WHY
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大阪の中小企業に限ったことではありませんが、人材確保は深刻な課題となっています。

求人票はただの仕事の説明ではなく、会社の魅力を伝える大切な機会です。
従来のような書き方ではなく「Why(なぜ)」から求人票を書き始めることによって、単なる「仕事内容」や「給与条件」を超えた求人票が作れます。

この記事では、「なぜ」から始める求人票の書き方を解説します。
Indeed等の求人サイトで差別化するコツと実例も紹介しています。

明日から使える具体的な方法で、あなたの会社の求人票を魅力的に変身させましょう。

目次

第1章:WHY — 「なぜ」から書くことが求人票に有効なのか

ハローワークやIndeedの画面にならぶ求人票は似たようなものばかりです。
「経験者優遇」「年齢不問」「福利厚生充実」「月給20万円〜」など、どこにでもある言葉が並んでいます。
そんな魅力に乏しい求人票では、本当に欲しい人材の目に留まりません

大阪の技術系企業でも人材獲得競争は年々激しくなっています。
特に優秀な人材は選択肢が多く、給与条件だけでは心を動かせません。

求められているのは、その会社ならではの「なぜ」です。
「なぜその製品を作っているのか」
「なぜその会社が存在するのか」

という根本的な問いです。

この「なぜ」を伝えることで、価値観の合う人材と出会えます。
ゴールデン・サークル理論とは、この「なぜ」を中心に据えた考え方です。

求人票にこの理論を応用すれば、応募者の心を掴める可能性が高まります。

第2章:THEORY — ゴールデン・サークル理論の基本的な考え方

ゴールデン・サークル理論は、サイモン・シネックが提唱した考え方です。

シネックはビジネス思想家で、TED講演「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」は世界で最も視聴された動画の一つです。
彼の著書『Start With Why』は世界的なベストセラーになりました。

この理論は3つの同心円からなる単純な図で表されます。
一番内側の円が「WHY(なぜ)」です。
その外側が「HOW(どのように)」です。
最も外側が「WHAT(何を)」です。

多くの求人企業は、「WHAT」から話し始めます。
「私たちはこんな人を募集しています」というように。

次に「HOW」を説明します。
「こういう制度があります」「こんな設備が揃っています」と。

あまり「WHY」つまり「なぜそれをしているのか?」ということは、求人票では触れられません。

しかし、人の心を動かすのは「WHY」なのです
「なぜその製品を作っているのか」「なぜそれを大切にしているのか」という部分です。

シネックは脳の仕組みからもこれを説明しています。

人間の脳の新しい部分は論理や言語を処理します。
一方、古い部分は感情や直感を司ります。

「WHY」は感情を司る部分に直接働きかけるのです。

アップルやテスラなど成功企業に共通するのは、「WHY」から語り始めることです。
「世界をより良くしたい」
「従来のやり方に挑戦したい」
という想いを伝えるのです。

そして多くの人がその想いに共感し、ファンになります。

第3章:HOW — ゴールデン・サークル理論を求人票にどう応用するか

では、求人票にゴールデン・サークル理論を応用する方法を見ていきましょう。

WHY(なぜ)を明確にする

まず自社の「WHY」を明確にすることから始めます。
「なぜその製品を作っているのか」を考えてみましょう。

お金を稼ぐためというのは結果であって、WHYではありません。

例えば「日本のものづくりの技術を守りたい」という想いかもしれません。
または「品質にこだわった製品で世界中の人を幸せにしたい」という信念かもしれません。

大阪の町工場でも、ならではの「WHY」があるはずです。
このWHYを求人票の冒頭に持ってくるのです。

HOW(どのように)を伝える

次に「HOW」で、企業文化や働き方を伝えます。

「どのように仕事に取り組んでいるか」を説明します。
例えば「職人の技術を大切にし、若手にも丁寧に教えています」といった内容です。
または「最新設備と伝統技術を組み合わせ、品質にこだわっています」など。

あなたの会社ならではの働き方や環境を伝えましょう。

WHAT(何を)で条件を示す

最後に「WHAT」で、具体的な業務内容や条件を説明します。

必要なスキルや経験、給与や福利厚生などの情報です。
「月給25万円〜」「賞与年2回」「社会保険完備」などの条件を書きます。

これらをIndeedなどに掲載する際のコツは以下の通りです。

まず見出しに「WHY」のエッセンスを含めましょう
「日本のものづくりを守る金属加工スタッフ募集」のように。

次に本文の冒頭で会社のWHYを丁寧に説明します

中盤でHOW、つまり働き方や企業文化に触れます

最後にWHAT、具体的な条件を書きます

第4章:WHAT — 実践的なビフォーアフター事例

では具体的な例を見ていきましょう。

製造業の場合

【改善前の求人票】
「金属加工スタッフ募集。旋盤・フライス盤経験者優遇。未経験者も可。月給22万円〜。社会保険完備。週休二日。」

これでは何の会社か、どんな想いで仕事をしているのかわかりません。

【改善後の求人票:製造業】
「日本の『ものづくり魂』を次世代に伝える金属加工スタッフ募集

私たちは、大阪発の技術で日本のものづくりの伝統を守り、未来に伝えたいと考えています。(WHY)
60年間、一つ一つの部品に魂を込めて作り続けてきました。
ベテラン職人と若手が協力し、技術を受け継ぎながら高品質な製品を生み出しています。(HOW)
未経験でも、ものづくりに情熱を持って取り組める方を歓迎します。
月給22万円〜28万円。昇給年1回。賞与年2回。社会保険完備。週休二日。(WHAT)」

WHYが明確で、どんな想いの人に来てほしいかがわかります。

電気工事施工業の場合

【改善前】
「電気工事士募集。2級電気工事士以上。現場経験3年以上歓迎。月給25万円〜。各種手当あり。」

【改善後】
「大阪の街に『安全と安心』を届ける電気工事士募集
私たちは、目に見えない電気の危険から人々の生活を守りたいという想いで仕事をしています。
昭和40年の創業以来、一件も事故を起こさず、大阪の街の安全を支えてきました。(WHY)
細部まで丁寧な仕事にこだわり、お客様の「ありがとう」を大切にする社風です。
現場では経験豊富な先輩が必ずサポート。一人前の技術者に育てます。(HOW)
2級電気工事士以上。未経験者も歓迎。月給25万円〜35万円。資格手当、家族手当あり。(WHAT)」

このような変更により、応募者の質と量が向上した企業が多くあります。

大阪のある金型メーカーでは、「WHY」を明確にした求人に変えたところ、応募数が3倍になりました。
しかも、会社の理念に共感する質の高い応募者が増えたそうです。

第5章:ACTION — 明日から始める求人票改革のステップ

では、実際にどう取り組めばよいでしょうか。

まず自社の「WHY」を発見するワークをしましょう。
「なぜこの製品を作っているのか」を繰り返し問いかけてください。
5回ほど「なぜ」を繰り返すと、本質的な答えに近づきます。

次に、技術者や現場のスタッフとこの「WHY」について話し合いましょう

WHYが決まったら、それを中心に求人票を書き直します
書き終えたら、自社の若手社員に読んでもらい感想を聞きましょう。

求人票を公開したら、応募状況を記録し、従来との違いを比較しましょう
面接では「どの部分に惹かれて応募したか」を必ず聞いてください。

ゴールデン・サークル理論を活用した求人票は、単なる人材募集ではありません。
あなたの会社の価値観を大阪から世界に伝えるメッセージです。

「なぜ」を大切にした求人活動で、大阪のものづくりを支える理想の仲間と出会えることを願っています。

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