5分という尺で何を伝えるか?
とりあえずこの稿では、5分の販促映像のシナリオを作るやり方を説明するわけですが。
「5分じゃ、とても商品のことを全部説明できないよ」
とおっしゃる方がいるかもしれません。
ちょっと待ってください。あなたは販促映像で商品のすべてを説明するつもりなのですか?
それは心得ちがいというものです。
ツールには役割がある
まず、その商品には、パンフレットあるいはカタログのような印刷物はないのですか?
もし、そういうものを作る前にまず販促映像を作ろうと思っているのなら、先に印刷物を作ることをおすすめします。
印刷物には印刷物の、映像には映像の役割があり、互いに相手の役割をカバーすることはできません。
それに、その商品を売る際には必ず人間、つまり営業マンだったり、セールスエンジニアだったりがいますよね。
営業は最後は「人と人」です。営業マンがセールストークを発揮できないような販促ツールは本末転倒です。
いわば、営業マンと印刷物、販促映像の関係は、「水戸黄門と助さん格さん」のようなものです。
水戸黄門のアクションシーンを思い出してください。、
最初に助さんが切り込み隊長となって悪党をなぎ倒します。
次に格さんが葵の御紋入りの印籠を取り出してその場を鎮めます。
そして最後に黄門さまが登場して裁定をする、といった一連の流れがあります。
助さんの役割が販促映像です。
最初に何も予備知識のない段階で、商談相手の心に飛び込み商品を印象づけます。
格さんは、パンフレットやカタログなどの印刷物。
その印象をもとに、詳しい情報を商談相手にもたらします。
最後に黄門さまである営業マンが、相手が疑問に思っていることに答え、人間力あふれるトークで受注に結びつけます。
この流れを意識して、販促映像を作るべきではないでしょうか?
役割をふまえたシナリオづくり
そういう意味では、販促映像の中で商品のすべてを説明する必要はない。
というか、むしろ説明すべきではないのです。
商談相手に興味を持たせるまでが、販促映像の役割。
それを引き継いで、相手の知りたい情報を与えるのが印刷物の役割。
このふたつの先触れがあるからこそ、営業マンのセールストークが効くのです。
最後に何もセールストークするネタが残っていないようなツールの作り方はむしろ効果を殺ぐ結果になるということです。
次項「印刷物と映像の特性」に続く