ブルシットワークの逆襲

AIが仕事を変えると言われています。

でも「仕事がなくなる・残る」という議論より、もっと本質的な問いがあります。
AIがコアな仕事を担ったとき、人間に残るのは何か
そしてその変化は、採用のあり方をどう変えるのか。 考えてみました。

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LinkedInが語る「クライミングウォール型キャリア」

AIがキャリアのあり方を変えようとしています。

Business Insider Japanに掲載された記事(Thibault Spirlet「AIが出世の道筋を変える…『はしご』ではなく『壁』を登ることに」)で、LinkedInのチーフ・エコノミック・オポチュニティ・オフィサー、アニーシュ・ラマン氏はこう語っています。

「働く人は、キャリアラダーではなく、クライミングウォールをよじ登っていくようにキャリアを築いていくだろう」と。

読んだ時、一瞬イメージがわかなかったんですが、ボルダリングですな。
ボルダリングをする人が、手がかりを探して、横に動いたり、離れた場所に飛び移ったりするイメージ。

キャリアはもはや一直線に上るものではない
横にも動きながら、自分のスキルと選択で方向を決めていく
そういう時代が来るという話です。

なるほど、と思います。 でも私には、もっと気になることがあります。

問うべきは、キャリアではなく仕事そのものではないか

キャリアの話をする前に、「仕事とは何か」を問い直す必要があると思います。

会社の仕事は、ひとつではありません。
「本来の仕事」と「周辺の仕事」が混在しています

本来の仕事とは、その職種の中核をなすものです。
営業なら提案、分析、クロージング。 経理なら数字の処理と管理。

周辺の仕事はどうでしょうか。
会議の調整、社内の根回し、取引先へのご機嫌伺い。

こうした仕事を、経済人類学者のデヴィッド・グレーバーは「ブルシット・ジョブ」と呼びました。
意味を感じにくい、本来でない仕事のことです。

AIが本来の仕事を引き受けたとき

AIが得意なのは、実は「本来の仕事」の側です。

情報の収集と分析、資料の作成、受注確度の予測、議事録の作成。
これらはすでにAIが担い始めています。
そしてその精度は、これからも上がり続けます。

すると逆説的なことが起きます。
人間に残るのが、ブルシットワークの側になるのです。

「AIで仕事が楽になる」と多くの人は思っています。
でも実際に起きることは、少し違うかもしれません。

営業の仕事で考えてみる

具体的に考えてみます。

営業という仕事を例にとります。
AIが担える営業ワークは何でしょうか。
見込み客のリストアップ、提案書の作成、競合情報の分析、商談後の議事録。
これらはすでにAIが担える仕事です。

では人間に残る営業ワークは何でしょうか。
接待、ご機嫌伺い、取引先同士のつなぎ。
こうした仕事です。

これはある意味で、仕事の「選別」です。
AIは仕事を奪うのではなく、仕事を選別する

そして人間に残るのは、これまでブルシットワークと呼ばれてきた側かもしれないのです。

答えのない問いを持ったまま、若手を採用し続けていいのか

LinkedInの2026年1月のデータによると、2030年までに多くの仕事で使われるスキルの70%が、主にAIの影響で変化するとされています。
数年先には、確実に状況が変わります。

ではブルシットワークを発展させた先に、何があるのでしょうか。
接待やご機嫌伺いや関係つなぎを深化させた先に、どんな仕事が生まれるのか。
どんな人材が活躍できるのか

正直なところ、私にもわかりません。

でもひとつだけ言えることがあります。
この問いを持たないまま、今日も採用面接をしている経営者が大半だということです。
さては「即戦力」
さては「コミュニケーション能力」
さては「主体性」

そんな言葉で求める人材を語っている場合では、もうないのではないでしょうか。

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